専門外来

がん患者さんのセカンドオピニオン活用法Q&A

目次

セカンドオピニオンとは

セカンドオピニオンとは主治医の診断、提示された治療に対して、患者さんの自己決定の一つの補助として、他の施設の専門の医師を受診して意見を聞く制度です。

日本では2000年以降に広がり、多くの病院でセカンドオピニオン外来が開設されています。2006年にはセカンドオピニオンを受診する患者さんの紹介状作成に特別の診療報酬が保険収載されるなど、患者さんが持つ権利という考え方が根付いてきています。

駒込病院は東京都がん診療連携拠点病院に指定され、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、肝臓がんの五大がんから、希少がんまで幅広いがんの診療を行っており、セカンドオピニオン外来にも多くの方が受診されています。ここではセカンドオピニオンに関して患者さんからよく寄せられる質問、医療者から見た活用法についてアドバイスをまとめました。

Q.駒込病院に受診していて、他の医療機関にセカンドオピニオンを求めたい場合は、どのように申し込めば良いですか?

A.当院の主治医又は主治医の外来受付にお申し付けください。

セカンドオピニオンを受ける医療機関名、医師名もお伝えください。主治医が診療情報提供書をご用意いたします。病歴や所見についての記載のほか、必要に応じて画像データのCD-Rや病理標本などを添付いたしますので若干の時間を要します。

診療情報提供書及び画像データのCD-Rや病理標本などの料金は、健康保険が適用され自己負担割合分のお支払いになります。

なお、セカンドオピニオンの予約方法は、医療機関によって異なります。相談を希望される医療機関にお問い合わせください。

Q.セカンドオピニオンを受けるメリットにはどのようなものがありますか

A.主治医とは別の専門家の診断、治療方針について意見を聞くことができます。多面的な意見をもとに方針を決定することで、納得して治療を受けることができると期待できます。

セカンドオピニオンでは、高い専門性をもつ医師が、受診される方の紹介状、検査、画像の情報をもとに第三者の立場から意見を述べます。

外部の視点から判断を行うので、病気の進展の程度の判断が異なることがあります。まれにではありますが、診断名が異なる場合もあります。診断が同じでも選択する治療方針が異なる場合があり、その場合にはどの治療を選択するのか主治医と再度相談することになります。

しかしながら、診断や方針が変わるようなケースはむしろ例外で、多くの場合は診断、治療方針は変わりません。その場合でも治療選択の納得度を高めて治療に臨むことができるとすれば有意義です。主治医の先生からの説明が難しかった、納得できなかった部分について、他の医師の視点から説明を補足してもらうこともできます。

Q.セカンドオピニオンはどんな時に利用するのがお勧めですか?

A.治療方針を検討する時、治療の転換点で活用しましょう。

がんの診療では多くの場合
1.診断・病状の評価2.方針の検討3.治療という順に進んでいきます。

1.診断、病状の評価 2.方針の検討 3.治療

1.病状の評価の段階では、患者さんの症状、経過を聞き、病気の進展具合を評価する画像検査や、細胞を採取して病気の性質を評価する病理検査などを行います。この途中で相談に行っても情報が不足していては的確なアドバイスは期待できません。まずは主治医の先生にしっかり病状の評価をしてもらいましょう。

3.の治療が始まった後では、勧められる治療が現在のものと異なる場合、方針の転換は容易ではないことが多いですし、かえって迷ってしまうことになるかもしれません。

したがって、「2.方針の検討」の段階がもっともふさわしい受診のタイミングと考えます。主治医の先生の立場からの方針を決めてもらい、説明を受けます。そのうえで他の施設の専門の医師はどう考えるかを聞いて意思決定の参考にします。

がん治療の経過において方針の決定が必要なのは一度だけではなく、最初の方針のまま進んでいくということではありません。

治療が始まった後にも、病状の進行、新たな症状の出現などにより、再度診断・病状の評価に立ち返ることが必要になることもあります。その場合も、現在どういう状況なのかを主治医の先生のもとで十分把握したうえで、次の治療、対処をどうするか相談する際にセカンドオピニオンを活用するとよいでしょう。

Q.がんのセカンドオピニオンを受けるときの施設の選び方を教えてください

A.「がん診療連携拠点病院」の指定などが目安になります。

一般論として、がん患者さんのセカンドオピニオンを受ける場合、がん治療の治療件数が多く、がん治療全般に見識をもつ施設を選ぶのがよいでしょう。厚生労働省は「がん診療連携拠点病院」という制度を定めてがん診療の質向上を推進しています。

がん診療連携拠点病院には、都道府県レベルでのがん診療の拠点となる【都道府県がん診療連携拠点病院】と各地域のがん治療を担う【地域がん診療連携拠点病院】があります。

例えば、東京都は以下のような状況になっています。

【都道府県がん診療連携拠点病院】
   2施設 (がん研究会有明病院、都立駒込病院)

【地域がん診療連携拠点病院】
   約20施設

がん診療連携拠点病院の指定が一つの目安になりますので、こちらのリストなどをご参照ください。東京都以外の指定状況も掲載されています。

Q.セカンドオピニオン受診時の流れを教えてください

A.資料の確認→病歴の聴取→患者さんへの説明→主治医の先生へ返書の記載という流れです

一般的な施設では30分から60分程度の時間枠が設定されています。

担当の医師は持参された資料を確認し、加えて患者さんにも病歴や現在の症状を確認します。それをもとにその医師ないし施設の見解を説明し、患者さんの質問にお答えします。その結果を主治医の先生にわかるようにお手紙を記載して終了となります。

Q.病院ごとに診療部門の名前や担当する科が違うようです、どの科を受診すればよいですか?

A.表を参考に、実際に受診する施設に問い合わせてください。

同じ臓器の腫瘍、同じ病状でも、病院によって担当している部門やその呼称が異なることがあります。セカンドオピニオン受診先を選ぶ際には、実際に診療を行っている当該部門があるか確認してみましょう。下の表は東京近郊のがんセンターなどの標榜科名を参考に作成しました。あくまでも目安ですので受診する医療機関の指示に従ってください。

実際にどのような規模で診療を行っているかは外からではわかりづらいものです。当院も含めた【都道府県がん診療連携拠点病院】では、一般的にほとんどの腫瘍をカバーしているものと思われます。

疾患 担当診療部門の呼称の例 備考
消化器がん
食道がん、胃がん、大腸がん
肝臓がん
膵臓がん
胆のうがん
消化器内科
外科(食道外科、肝胆膵外科など細分化されている場合もあります)
腫瘍内科
診断が決まらない時は消化器内科、
手術が問題になる場合は外科
抗がん剤治療が主体になる場合は腫瘍内科
脳腫瘍 脳神経外科
頭頚部腫瘍
咽頭がん、喉頭がん
鼻腔がん
唾液腺がん
耳鼻咽喉科、頭頚部外科
口腔がん
舌癌
口腔外科
耳鼻咽喉科、頭頚部外科
甲状腺がん 耳鼻咽喉科、頭頚部外科
乳腺内分泌外科
肺がん
縦郭腫瘍
胸膜中皮腫
呼吸器内科
呼吸器外科、胸部外科
診断がはっきりしない場合、薬物治療が主体になる場合は内科
手術を含めた治療の場合は外科
乳がん 外科、乳腺外科
腫瘍内科
診断、手術について相談する場合は乳腺外科、薬物治療が主体の場合は乳腺外科または腫瘍内科
婦人科腫瘍
卵巣腫瘍、卵巣がん
子宮頸がん、子宮体がん
膣がん、外陰がん
産婦人科、婦人科
泌尿器腫瘍
腎臓がん
膀胱がん、尿管がん
前立腺がん
泌尿器科
軟部腫瘍、骨腫瘍
肉腫(サルコーマ)
骨軟部腫瘍科
整形外科
皮膚腫瘍
有棘細胞がん、基底細胞がん、メラノーマ(悪性黒色腫)
皮膚科
皮膚腫瘍科
悪性リンパ腫 血液内科
腫瘍内科
白血病 血液内科
腫瘍内科
小児がん 小児科 小児がん拠点病院が全国で15か所指定されています
がんの痛み 緩和医療科
緩和ケア科
放射線治療に関連する病状全般 放射線科、放射線治療科
抗がん剤、薬物治療が関与する病状全般 腫瘍内科

手術や、生検などを実施した後の病理検査の判断が問題になることもあります。専門性が高い施設では、病理医のセカンドオピニオン外来を開設しているところもあるようです。


参考:その他にも駒込病院では、がん以外の疾患のセカンドオピニオン外来も実施しています。


潰瘍性大腸炎・膵炎・胆のう炎等の消化器系の疾患 消化器内科
肝炎・肝不全・肝硬変等の肝障害の疾患 肝臓内科
膠原病・全身エリテマトーデス等の全身性の自己免疫性疾患 膠原病科
間質性肺炎・呼吸器感染症など呼吸器疾患 呼吸器内科
神経感染症・パーキンソン病・脳脊髄血管障害・中枢神経変性疾患 脳神経内科
慢性糸球体腎炎、慢性腎臓病(血液・腹膜透析治療適応)等腎疾患 腎臓内科
HIV、不明熱等の感染症疾患 感染症科
その他(精神疾患等) 精神腫瘍科等

Q.セカンドオピニオン受診の前に準備しておくものはありますか?

A.主治医の協力を得て十分な資料を用意してください、質問事項を整理しておきましょう。

医師ががんの治療方針を判断するためには多くの情報、検査の結果を集める必要があります。必要な資料の例には以下のようなものがあります。病気の種類により必要な資料が異なります。

資料 説明
紹介状 これまでの経過、今後の方針、主治医から見た問題点をまとめた手紙です。
病理検査 検査で採取した細胞や組織、手術で切除した臓器や組織を顕微鏡などで評価した報告書です。
がん細胞が存在するのか、がんの進展範囲がどの程度なのか、リンパ節に転移があるのか、治療方針に影響を与える遺伝子検査の実施状況などが記載されており、もっとも大切な資料の一つです。
検体検査 治療を選択する際に判断の材料となる、からだの様々な臓器の働きが評価できます。
腫瘍マーカーの推移が参考になることもあります。
画像検査 CTやMRIの画像データをCDやDVDでデータを受け取ります。病気の進展範囲、転移の有無がわかることがあります。
手術や放射線治療の適否を判断します。
全身療法(抗がん剤治療)の効き目の評価を行います。

医師が資料を用意するほかに、患者さんやご家族も診察時に特に聞きたいこと、相談したいことを整理しておくことをお勧めします。聞きたかったことを質問し忘れることを防ぎ、限られた診察の時間をお互い有意義に利用する工夫の一つです。

持参するもの
  □紹介状
  □病理、血液検査などの検査結果
  □画像データ(CD、DVD、フィルムなど)

その他
  □医師に相談したい、確認したい事項のメモ

Q.セカンドオピニオンではどんなことを質問するとよいですか?予備知識を得るにはどうすればよいですか。

A.疑問に思っていることは率直に聞きましょう、患者さん向けガイドラインなども活用しましょう。

患者さんごとに、セカンドオピニオンに期待することはそれぞれですが、わからないこと、疑問に思っていることを何でも聞いてみましょう。今勧められている治療のほかに方法がないかどうか、あれば、その治療のメリット、デメリットなどを質問してみましょう。

ただし、少し注意したいのは、聞くことがあまりに多くなってしまったりすると話がまとまらなくなってしまう恐れもあります。これだけは聞いておきたいこと、セカンドオピニオンを受けようと思う動機になった疑問などはっきりさせておくとよいでしょう。

先述のメモを活用して、質問することを整理したり、ある程度の予備知識を得て臨んだりするとよいでしょう。

おすすめできる患者さん向けの資料としては、学会が発行している患者さん向けガイドラインなどがあります。ガイドラインは治療成績や比較試験に関する論文などをまとめた本で、専門医も治療方針を決めるために利用しています。これを患者さんにもわかりやすい言葉で解説しています(患者さん向けガイドラインというような名前がついています)。

インターネットや書籍に掲載されている解説では一般論が多くなりがちですが、セカンドオピニオンの対面診察では患者さん個人の状態に基づいたアドバイスが得られますし、疑問を質問によって解消することができる貴重な機会になります。

Q.主治医の先生に秘密にして受診できますか?

A.お勧めできません

医師が患者さんの病状の把握をするには、これまでに行われた検査の結果や、正確な病歴など十分な情報提供が得られることが必要です。断片的な情報では適切な判断、見解を得ることは困難です。

主治医にセカンドオピニオンの希望を申し出ることはためらわれることかもしれませんが、冒頭で述べたように、近年では希望される患者さんも増え、医療者の意識も変わってきています。希望される場合は率直に主治医の先生に相談して協力を得ましょう。

Q.セカンドオピニオンをきっかけとして、病院を移ることはできますか。

A.まずは意見を持ち帰り、主治医の先生と相談しましょう。

セカンドオピニオン受診の第一の目的は他の医師の意見を今後の治療の参考に活かしてもらうことです。まずは受診先の担当医の見解を持ち帰りましょう。主治医の先生とは違う治療を勧められた場合には、方針を変更するべきかについて、主治医の先生とよく話し合いましょう。

例外的に、もとの病院ではセカンドオピニオンで勧められた治療が難しいときなどでは実際に病院を移って治療することもあるようです。紹介元の主治医の了承と、セカンドオピニオン受診先の受け入れが前提ですのでご注意ください。

病院を移ることを前提にしている場合は、セカンドオピニオンではなく、「初診」として主治医の先生とよく相談の上、紹介状を持参して受診するのがよいでしょう。この場合も、他の施設で治療の途中の患者さんの受け入れを行うかは、施設、診療部門により異なります。確認の上、相談するのがよいでしょう。

参考 セカンドオピニオンと新規紹介(初診)の違い
セカンドオピニオン 新規紹介
紹介目的 受診中の施設での方針に対して、第三者の医師に意見を求める。 現在受診している施設から他の病院に移って、引き続きの診察、治療を依頼する。
健康保険 適応外、自費診療 保険診療
料金 各施設が設定 厚生労働省が設定、全国一律
受診施設 患者さんが主体となって決めることが多い。 主治医との関係が強い施設(提携施設)への紹介も多い、患者さんの希望によることもある。

Q.セカンドオピニオンでは保険は効きますか?費用はいくらですか?

A.健康保険は適応外で、自費診療です。

セカンドオピニオンは健康保険が適応されない自由診療で、全額自己負担になります。また、保険診療と、自由診療を並行して行うこと(混合診療)が禁じられているため、セカンドオピニオン受診先の医療機関で検査や処方などを保険診療で受けることもできません。

相談の時間は30分から60分程度で、費用は1万円から5万円程度と施設により様々です。一部の民間の医療保険ではセカンドオピニオンの自費負担額を給付するものもあるようです。

セカンドオピニオンの活用法について理解が深まりましたか?

都立駒込病院でも、セカンドオピニオン外来を開設しています、受診を検討されている方はこちらをご参照ください。

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