放射線診療科(治療部)

子宮頸癌に対する定位放射線治療

子宮腔内照射が不適な子宮頸癌に対する定位放射線治療
(第Ⅱ相臨床試験)UMIN000036845

概要

子宮頸癌の患者さんのうち子宮腔内照射が出来ない方を対象に、標準的な子宮腔内照射ではなく定位放射線治療を行い、その安全性を評価する試験です。

対象となる患者さん

  • 病気:子宮頸癌、ステージ IB1~IIIB(骨盤リンパ節転移・膨大動脈リンパ節転移例も含む)
  • 年齢:20歳以上
  • 子宮腔内照射が不適
     - 子宮頸癌によるもの:頸癌の最大径が7cm以上
     - 解剖学的問題によるもの:腟狭小、子宮脱
     - 併存疾患によるもの:子宮筋腫
     - 腔内照射拒否

目的

子宮頸癌に対する標準的な放射線治療は、体の外から放射線をあてる方法(体外照射)に続いて子宮の中から放射線をあてる方法(子宮腔内照射)を行います。子宮腔内照射は治療効果に直結するとても大事な治療ですが、患者さんの中には何らかの理由で腔内照射が出来ない方がしばしばいらっしゃいます。そういった患者さんには体外照射を続けるほかなく、体外照射では子宮腔内照射よりも少ない量の放射線しか投与できませんでした。
近年、放射線治療機器の発達により、放射線を腫瘍に集中させる『定位放射線治療』という高精度治療が可能となりました。腔内照射が出来ない患者さんに、腔内照射の代わりとして定位放射線治療を行うことが、この臨床試験の治療になります。この試験の目的は、定位放射線治療の安全性を確認することです。
(標準治療の詳細については子宮頸癌の放射線治療をご参照ください。)

試験の治療法

まず体の外から骨盤全体へ 1.8グレイ×25回(計45グレイ)を照射します(この部分は標準治療と大きく変わりません。左図)。その後、ターゲットを腫瘍に絞って定位放射線治療7グレイ×3回(計21グレイ)を行います(右図)。一回の治療にかかる時間は、骨盤全体への照射が約15分間、3回の定位放射線治療が約30分です。
子宮頸癌に対する定位放射線治療

予想される副作用

放射線による副作用は、基本的に放射線が照射されている範囲内に起こり、どのような副作用が現れるかある程度は予測できます。しかし、副作用の現れ方には個人差があるため、その頻度や程度などを完全に予測することはできません。以下に主な副作用を列挙します。

1)治療中に現れうる副作用
  • 皮膚炎…塗り薬で対応します。
  • 腸炎…下痢症状があれば下痢止め、腹痛があれば痛み止めを使用します。
  • 膀胱炎
  • その他:骨髄抑制、陰部脱毛、倦怠感・悪心など
2)治療後数ヶ月して現れうる副作用
  • 皮膚炎…皮膚が硬くなります。
  • 腸炎…下痢や出血など。重篤化すると穿孔、腸閉塞となる場合もあります。
  • 膀胱炎
  • 足の浮腫
  • その他:骨折、卵巣機能低下、二次発癌など

メリット

今まで行っていた少ない量の体外照射と比較して、定位放射線治療では高線量の投与が可能となります。
子宮腔内照射と比較しても以下のようなメリットが挙げられます。①処置に伴う精神的、肉体的苦痛の軽減。②処置に伴う合併症の回避。③病変の形状に合った過不足のない照射。④治療期間の短縮。

デメリット

予期せぬ副作用が生じる可能性があります(データが少ないため正確な頻度は不明です)。

最後に

以上は本試験の要点を簡潔にご説明したものです。試験の詳細についてや試験に関する質問等ございましたら、遠慮なく臨床試験責任者にお尋ねください。

研究事務局(臨床試験の実務責任者、連絡窓口):放射線診療科(治療) 伊藤 慶
研究代表者(臨床試験全体の責任者):放射線診療科(治療) 唐澤 克之

2019年6月 伊藤 慶

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