放射線診療科(治療部)

IMRTを用いた全身照射

強度変調放射線治療を用いた全身照射

全身照射(Total Body Irradiation: TBI)について

主に血液腫瘍に対して行われる造血幹細胞移植に先行して実施されます。大量化学療法と組み合わせて行われ、移植前処置と呼ばれています。移植前処置の目的は主に①腫瘍細胞を出来る限り根絶させること(抗腫瘍効果)、②移植片への拒絶反応の予防(免疫抑制効果)です。
TBIは優れた免疫抑制効果を有すると共に、抗がん剤では到達しにくい中枢神経や生殖器、皮膚などに存在する腫瘍細胞に対しても効果が期待できるため、移植前処置として幅広く用いられています。

強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy: IMRT)について

IMRTとは高精度放射線治療技術の一種であり、放射線を当てたい標的に集中させ、守りたい臓器を避けて放射線治療を行うための方法です。頭頸部癌や前立腺癌など、標的病変と正常臓器の距離が近い場合や標的の形が複雑な場合に用いられることが多い技術です。
当院で導入しているTomoTherapy®︎を用いることでTBIにおいてもIMRTを用いることが可能となりました。IMRTを用いることで全身への放射線量は変えずに、リスク臓器(水晶体・肺・腎臓)への放射線量を評価・低減させて治療を行うことが可能となりました。

適応となる患者さん

造血幹細胞移植前処置においてTBIを用いる患者さん、かつ3日間のTBIを予定している患者さん。(1日・2日間のTBIを予定している患者さんは従来のIMRTを用いないTBIを行なっています。)
当科だけではなく血液内科医師と協議して決定しています。

治療の流れと内容

全身照射の準備として全身を固定する器具を作成しCTを撮影します。そのCTをもとに放射線治療計画を作成します。
治療は3日間で合計12グレイを全身に照射します。1日2回(朝・夕)、計6回の照射を行い、1回あたり1時間〜1時間半の時間を要します。照射中に痛みや熱さを感じることはありません。

実績

日本国内からはまだIMRTを用いたTBIの報告はありません。
海外からはいくつかの報告があり、特に12グレイの治療に対して肺は7グレイ前後、腎臓は8グレイ前後まで照射線量を低減でき、また照射に関連した重大な有害事象の報告はありません。

副作用

<照射後すぐに現れる可能性のある主な副作用>
倦怠感・悪心嘔吐・皮膚炎・口腔粘膜炎・唾液腺炎・放射線肺臓炎・下痢他

<照射後時間をおいて現れる可能性のある主な副作用>
白内障・肺線維症・腎機能障害・肝機能障害・性線機能低下・二次発がん他

2019年4月 小川 弘朗

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