放射線診療科(治療部)

動体追尾放射線治療

体幹部定位放射線治療

定位放射線治療とは、小さな病変に対し多方向から高い精度で放射線を集中させる照射方法です。通常の放射線治療と比較して、周囲の正常臓器に当たる線量を減少させながら、腫瘍に対しては高い線量を照射し、局所制御を向上させることを目的としています。

頭部以外の病変に対する定位放射線治療を体幹部定位放射線治療(Stereotactic Body Radiation Therapy; SBRT)と呼びます。国内では2006年より保険適応となり、現在では広く行われるようになりました。現在当院では、原則として保険適応となる疾患のうち下記のものを対象としていますが、実際には手術など他の治療法と対比し、病態・病状を考慮して治療方針を決めていきます。

  1. 原発性肺癌(直径が5 cm以内で、かつ転移のないもの)
  2. 転移性肺癌(直径が5 cm以内で、かつ3 個以内で、かつ他病巣のないもの)
  3. 原発性肝癌(直径が5 cm以内で、かつ転移のないもの)
  4. 転移性肝癌(直径が5 cm以内で、かつ3 個以内で、かつ他病巣のないもの)

その他に、肺癌では病変部位が心臓や食道などの臓器に近接していないこと、活動性の間質性肺炎がないこと、腕を上げた状態で安静保持が可能であることなどの条件があります。そのため定位放射線治療が可能かどうかは、診察した上で判断します。

原発性/転移性肺癌では、1日1回12.5Gy(グレイ)の照射を4回、合計50Gyという線量がよく用いられます。シミュレーション(放射線治療計画のためのCT撮影)から実際の治療開始までの準備期間は約1週間です。1回の照射線量が大きいため、照射期間も約1週間と通常の根治照射と比べて短くなっています。1回あたりの治療時間は20~30分程度です。

動体追尾照射

肺や肝臓の病変は呼吸に伴って体内で動きます(呼吸性移動)。体幹部定位放射線治療では、標的とする病変が照射範囲から外れてしまわないように、通常は病変の動く範囲全てを含むように照射範囲を設定します。しかし、呼吸による病変の移動量が大きくなるほど、それを含めるために広い範囲に照射を行うこととなり、病変の周りの正常な組織に当たる線量が増えて副作用の危険性が高まってしまいます。そのため、病変の呼吸性移動が大きい場合には何らかの対策が必要となります。

呼吸性移動対策にはいくつか方法がありますが、当院では「動体追尾照射」という方法を用いています。動体追尾照射とは、病変の呼吸性移動に応じて治療ビームが追尾して動く機能を用いた照射法で、病変への照射線量を保ちつつ照射範囲を小さくできるため、周囲の正常組織に当たる線量は低くでき、副作用の危険性を減らすことが期待できます。当院では定位放射線治療の際、病変の呼吸性移動が大きい方(10mm以上が目安)に動体追尾照射をお勧めしています。

従来の照射:従来は腫瘍が動く範囲を広めに照射していました。

動体追尾照射:腫瘍を追いかけながら照射するため範囲を狭めることができます。

原発性/転移性肺癌の動体追尾照射では、シミュレーションの前に気管支鏡を使って純金製のマーカーを病変の近くに留置し、これを基準にして病変の移動量を評価します。このため通常の定位放射線治療に比べて治療の準備期間が1週間程度長くなります。照射線量、回数は通常の定位放射線治療と同じですが、位置合わせ等に時間をかける分1回あたりの治療時間は少し長くなり30~50分程度となります。

当院では原発性/転移性肺癌の定位放射線治療にはVero-4DRT(ヴェロ)あるいはCyberKnife(サイバーナイフ)という高精度放射線治療装置を用いています。どちらの装置にも動体追尾照射の機能があり、腫瘍の位置や性状などからより適した装置を選択して治療を行います。


Vero-4DRTの照射例


CyberKnifeの照射例

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