放射線診療科(治療部)

肛門管がん

肛門がんの化学放射線治療(UMIN000012184)

概要

肛門がんに対して、抗がん剤治療と放射線治療を組み合わせた化学放射線療法の有効性を評価する試験です。

対象となる患者さん

  • 病期 肛門扁平上皮癌 T1-4N0-3M0
  • 年齢 20-75歳
  • 全身状態 良好(抗癌剤治療が可能)

背景/目的

肛門がんとは、肛門管にできるがんです。本試験は、肛門がんの中でも扁平上皮癌という種類のがんを対象としています。

<肛門管の解剖>
駒込病院放射線治療部 肛門管がん1
(出典:大腸癌取扱い規約第7版)

肛門がん(扁平上皮癌)に対する本邦の標準治療は、抗がん剤治療と肛門および所属リンパ節に対する放射線治療を組み合わせた「化学放射線療法」であり、手術と比較して高い根治性と、肛門の温存が可能となっています。この治療法は海外の臨床試験で有効性が示されていますが、本邦では検証されないまま標準治療となっています。

また、近年普及しつつある強度変調放射線治療(IMRT)とは、コンピューターによって放射線を制御することで、従来の照射法では避けられなかった周囲の正常臓器への放射線の量を有意に低下させることで、副作用の軽減をはかることができる放射線照射法です。

この臨床試験では、IMRTを用いた化学放射線療法の日本人の肛門がんに対する有効性および副作用を検証することを目的としています。

本試験の治療法

この臨床試験では、放射線治療(IMRT)と2 種類の抗がん剤を併用して行います。抗がん剤治療は4 週間(28日)を 1コースと数えて、2コース行います。

  • 5-FU(点滴注射)
    各コース1 日目から4 日間、持続点滴注射を行います。
  • MMC(静脈注射)
    各コースの 1 日目に静脈注射を行います。
  • 放射線(照射)
    抗がん剤の治療を始める日に、放射線の照射も同時に始めます。照射は、1 日1 回、週 5 回、合計33回行います。1回に照射する放射線の量は1.8Gyで、1 回の照射にかかる時間は15分程度です。
    放射線自体は肉眼的に見えませんし、痛みなどはありません。
<照射野例>
駒込病院放射線治療部 肛門管がん2

<参考スケジュール>
駒込病院放射線治療部 肛門管がん3
div (96h) : 持続点滴注射4日間、div : 静脈注射

予想される副作用

1)治療中に現れうる副作用
  • 肛門痛、皮膚炎、排便時疼痛…塗り薬や痛み止めで対応します。
  • 腸炎…下痢症状があれば下痢止め、腹痛があれば痛み止めを使用します。
  • 膀胱炎
  • その他:血球減少、陰部脱毛、倦怠感・悪心など
2)治療後数ヶ月して現れうる副作用
  • 皮膚炎…皮膚が硬くなります。
  • 腸炎…下痢や出血など。重篤化すると穿孔、腸閉塞となる場合もあります。
  • 膀胱炎
  • その他:骨折、性機能低下、二次発癌など

メリット

IMRTを用いることで正常臓器への負担を減らし、腸炎や腸閉塞、膀胱炎などの副作用を軽減します。

デメリット

予期せぬ副作用が生じる可能性があります。

最後に

以上は本試験の要点を簡潔にご説明したものです。試験の詳細についてや試験に関する質問等ございましたら、遠慮なく臨床試験担当者にお尋ねください。

文責:柴田 友紀子

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