腎泌尿器外科

前立腺がん:2つの低侵襲手術

2つの低侵襲(体にやさしい)手術:ロボット支援手術(ダ・ヴィンチ Xi)とロボサージャン・ガスレス・シングルポート手術による前立腺全摘除〜高い根治性と良好な機能温存(尿失禁からの早期回復)を同時に達成

①ロボット支援手術(ダ・ヴィンチ Xi)による前立腺全摘除〜最新型ダ・ヴィンチ手術支援システムによる高精度な低侵襲・根治的・機能温存手術

ロボット支援手術(ダ・ヴィンチ Xi)

前立腺がんに対する根治治療の柱となる治療法です。最新型のダ・ヴィンチXiによる前立腺全摘除を2017年3月より開始しました。これまでのロボサージャン手術で培ってきた根治性と機能温存を重視した術式を、高精度なダ・ヴィンチXiシステムによる手術に採用し、良好な治療成績が得られています。
具体的には、前立腺が尿道括約筋と繫がっている「尖部」は癌の好発部位であり、尖部の処理は、根治性と機能温存(術後尿失禁からの早期回復)の点で最も重要な手術操作です。従来の術式では、根治性を高める(癌をしっかり切除する)と術後尿失禁が長引いてしまい、逆に尿失禁を起こさないように尿道括約筋をしっかり残すと根治性を損ねる(癌を取り残してしまう)という問題点がありました。私たちは、後述のロボサージャン手術で、尿禁制に関連する骨盤底構造を極力温存しながら尖部構造が良く見える状態を作り、癌をしっかり取り除きつつも、尿失禁からの早期回復を可能とする術式を開発し、洗練してきました。さらに、膀胱の出口の形状を尿失禁を起こしにくく形成することで、殆どの症例に尿失禁からの早期回復を達成できています。その結果、世界的にも高水準の根治性と機能温存の両立を実現しています。
適応のある方には、勃起神経温存手術を積極的に行っています。
当院では、ロボサージャン・前立腺全摘除で高水準な根治性と機能温存を達成して参りました。ダ・ヴィンチXiシステムを用いることで、より少ない出血でロボサージャン手術と同等の根治性・機能温存を達成しています。
手術翌日から食事と歩行が可能で、輸血が必要となることは殆どありません。入院期間の目安は7日程度です。

  • 治療成績(調査対象:2017年3月〜2020年3月にダヴィンチ・前立腺全摘除を施行した112件)輸血率 0%. pT2切除断端陽性率 8%. 術後3ヶ月の尿禁制回復率 92%(最近の症例では96%). 神経温存手術施行率 90%.

②ロボサージャン・ガスレス・シングルポート手術による前立腺全摘除〜ロボット支援手術の適応のない方にも安全で先端的な低侵襲・根治的・機能温存手術を

ガスレス・シングルポート手術の概念

当院では、ダ・ヴィンチ手術の他に、もう1つの先端的な低侵襲手術であるロボサージャン・ガスレス・シングルポート手術(3Dヘッドマウント・ミニマム創内視鏡下手術)による前立腺全摘除を行っています。
前述のダ・ヴィンチ手術は、緑内障や腹部手術を過去に受けたことのある方は受けられない場合があります。このようなダ・ヴィンチ手術を受けられない方や、拡大切除を必要とする局所進行がんの方を主な対象としています。
同手術は、3Dハイビジョン内視鏡+ヘッドマウントディスプレイ(3D-HMDシステム)を用いて、下腹部の4㎝程度の単一の孔(シングルポート)から内視鏡と手術器具を挿入して行います。入院経過はダヴィンチ手術と同様です(手術翌日から食事と歩行が可能、入院期間の目安は8日程度)。輸血が必要となることは殆どありません。

  • 治療成績(調査対象:2014年3月〜2020年6月にロボサージャン・前立腺全摘除を施行した167件) 輸血率 2.4%. pT2切除断端陽性率 3.6%. 術後3ヶ月の尿禁制回復率 92%(最近の症例では96%). 神経温存手術施行率 41%.
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