腎泌尿器外科

膀胱がん:浸潤性膀胱がんに対する低侵襲・根治的・膀胱温存

浸潤性膀胱癌に対する低侵襲・根治的・膀胱温存~低用量化学放射線療法+膀胱部分切除/骨盤リンパ節郭清(ロボサージャン・ガスレス・シングルポート手術)

浸潤性膀胱癌に対する標準的根治治療は膀胱全摘除です。一方で、浸潤性膀胱癌の患者さんの中には、膀胱を取らずに完治可能な患者さんがいることも知られています。
膀胱全摘除の場合は、尿路変向術(回腸導管造設術、自排尿型新膀胱造設術など)が必要となります。尿路変向術は腸管の一部を利用して行うため、術後腸閉塞などの合併症も少なくありません。また、尿路変向術後の患者さんの多くは、生涯にわたる排尿管理が必要となります。
私達は、浸潤性膀胱癌の患者さんのうち膀胱をとらずとも完治が可能であると判断される患者さんに対して、生来の機能的膀胱を温存する治療が最良と考えています。
このような背景の下、当科では、根治性を損なわずに膀胱温存が可能と判断される、転移のない浸潤性膀胱癌の患者さんに対しては、膀胱全摘除を行う前に、低侵襲な集学的治療(低用量化学放射線療法+ロボサージャン・ガスレス・シングルポート手術による膀胱部分切除および骨盤リンパ節郭清)による膀胱温存療法を行っています。
低侵襲・根治的膀胱温存療法の対象となる患者さんは、

  1. 浸潤癌であること。
  2. 浸潤癌の範囲が膀胱内で広範でないこと。
  3. 転移がないこと。

です。さらに、低用量化学放射線療法が有効であった患者さんのみが本治療の対象となります。
具体的な治療の流れを下図に示します。

治療の流れ

浸潤性膀胱癌の患者さんが膀胱を温存した場合、膀胱に浸潤癌が再発する危険性があります。当科では、温存膀胱の浸潤癌再発のチェックを厳重に行っています。
本治療法で膀胱を温存できた患者さんでは良好な治療成績を得ており、国際的にも高い評価*を得ています。

*参考文献

1) Selective bladder-preservation therapy, incorporating induction chemoradiotherapy and consolidative partial cystectomy with pelvic lymph node dissection for muscle-invasive bladder cancer: Oncological and functional outcomes of 107 patients. Kijima T, Tanaka H, Koga F, et al. BJU Int 124:242-50, 2019.
2) Selective bladder-sparing protocol consisting of induction low-dose chemoradiotherapy plus partial cystectomy with pelvic lymph node dissection against muscle-invasive bladder cancer: Oncological outcomes of the initial 46 cases. Koga F, Kihara K, et al. BJU Int 109:860-6, 2012.
3) Selective Bladder Preservation with Curative Intent for Muscle-Invasive Bladder Cancer: A Contemporary Review. Koga F, Kihara K. Int J Urol 19:388-401, 2012.

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