がん・感染症センター都立駒込病院

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血液内科

末梢血幹細胞採取

末梢血幹細胞について

造血幹細胞は通常は骨髄中に存在していますが、ある条件下では骨髄中の造血幹細胞の一部が末梢血(採血をするような血液)中に流れでてきます(これを動員といいます)。
この時に採取すると末梢血でも効率的に造血幹細胞を集める事ができます。
具体的には、末梢血中に造血幹細胞を動員する作用のあるG-CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子)という薬剤(約1ml)を連日、皮下注射します。
注射を開始して5日目に、血液検査などの結果をもとに末梢血の造血幹細胞の採取を行います。
こうして採取された末梢血幹細胞は、骨髄採取でえられた造血幹細胞と同様、患者さんに移植することが可能です。
なお、G-CSFの使用は、厚生労働省が保険医療としてすでに認可しております。

末梢血幹細胞採取に先だって

骨髄採取の場合と同様、安全に末梢血幹細胞を採取するためには、あらかじめドナーの方の健康状態を綿密に評価しておくことが必要です。
血液・尿検査を施行して、貧血、肝臓や腎臓の異常、ウイルス感染症の有無を確認します。
そのほか、レントゲン撮影、心電図検査などを行い、末梢血幹細胞採取を受けるのに特段の問題がないか否かを検討します。
ドナーとして適格と判断されるためには、これらの検査が正常である事が必要です。
また、これらの検査で異常がある場合は、ドナーの方の安全性を最優先に考え、末梢血幹細胞採取を断念することもあります。
また、末梢血幹細胞の採取は、当院の輸血科の専門の医師が中心的な役割を果たしますので、あらかじめ輸血科の医師の診察も受けていただきます。
ドナーとして適格と判断されると、末梢血幹細胞移植(採取)の日程が決まります。
患者さんは、末梢血幹細胞移植の7~10日程前より、超大量の抗がん剤や放射線療法を受けております。
もし、前処置開始後に何らかの理由で末梢血幹細胞の提供がなされず、代替の造血幹細胞も移植されないと患者さんは致命的な状態にいたります。
末梢血幹細胞採取日が決定しましたら、健康管理には十分ご留意ください。

入院について

入院について

末梢血幹細胞の採取の場合には、想定される出血量は多くはないので、骨髄採取のような自己血貯血の必要はありません。
入院は、通常は末梢血幹細胞採取予定日の6日前(前の週の金曜日)にしていただきます。
入院後はもう一度、血液検査、肝機能、腎機能、胸部レントゲン撮影、心電図などの検査を行います。
末梢血幹細胞の採取は通常、火曜日に予定しております。
G-CSFの注射は4日前の金曜日から行います。毎朝、血液検査をして、末梢血中の白血球数などを測定して最終的な採取日を決定します。
G-CSFの投与を行うと、白血球数が正常の4~5倍程度に増加します。
このため、腰などの骨の痛みが出ることがあり、鎮痛剤の服用が必要になることもあります。
また、極めてまれですが脾臓破裂などの重篤な合併症がおこる可能性もあります。

採取について

採取について

末梢血幹細胞採取は、当院地下1階の輸血科採血室で行います。
採取当日、採取用の針を両腕に留置して、片方の腕から持続的に採血し、末梢血中に動員されてきた造血幹細胞だけを下図のような機械で分離・回収し、バックに濃縮液として集めます。
造血幹細胞以外の血液はもう一方の腕から体にもどします(返血といいます)。

ドナーの方の両腕の血管が極端に細い場合には、あらかじめ肩(鎖骨下)、首(内径)あるいは足の付け根(鼠径部)の太い静脈に  カテーテルというチューブを挿入しておき、採取当日にそのチューブを使って、造血幹細胞を分離する機械につなぐことも考えられますが、  この点については、輸血科の医師やドナーの方と相談の上、判断いたします。
機械による採血と返血は同時に行われるため、血液が大幅に失われることはなく、貧血になることはありません。
最終的にドナーの方から100~200mlの血液(造血幹細胞をたくさん含んでいる)をいただくことになります。
採取にはおおよそ3時間ほど要し、その間はリクライニング・シートで安楽にしていただきます。
この間、自覚症状として痛みはありません。機械で処理される血液が固まらないようにするために、抗凝固剤を投与します。
この抗凝固剤は血液中のカルシウムを吸着するため、低カルシウム血症をきたします。
これを防ぐため、カルシウム剤を投与しますが、口唇周囲、手先や足元のしびれなど低カルシウム血症の症状が出現することがあります。
G-CSFに対する造血幹細胞の動員の効率にはかなり個人差があり、採取できる末梢血幹細胞も個人差があります。
このため、採取できた造血幹細胞の細胞数を検査しなければなりません。基準より大幅に少ない場合には、2回目の採取をお願いすることもあります。

末梢血幹細胞採取後

末梢血幹細胞を採取後は、一時的にある程度血小板が減少しますので、その程度を確認するため、採取後も複数回採血をさせていただきます。
その結果、特段の問題がないことが判明した段階で退院となります。
通常は、採取数日後とお考え下さい。
退院後は2~3週後に術後健康診断を受けていただきますが、それまでの間、移植コーディネーターより体調の具合を伺う電話を差し上げる予定です。

麻酔について

麻酔は行いません。

末梢血幹細胞採取の危険性について

末梢血幹細胞採取そのものは決して困難な手技ではありませんが、全く安全というわけでもありません。
末梢血幹細胞採取の危険性には大きく分けて次の3種類があります。

  1. 「末梢血幹細胞採取によって失われる幹細胞のために病気になる危険性」はまず考える必要はないと思います。
  2. 「採取術に伴う危険性」としては、四肢や口囲のしびれといった低カルシウム血症、全身倦怠感、吐き気、めまいなどの 心臓への負荷に伴う症状、抗凝固剤を投与することによる出血の危険性、そのほか感染、針による損傷などが考えられます。
    また採取中に心筋梗塞などの合併症が起こる事もありえます。
  3. 「G-CSFに関係する危険性」ですが、G-CSFの投与により腰痛、頭痛、関節痛、発熱、倦怠感、食思不振、不眠、吐き気、嘔吐などの 症状や血小板減少、脾腫などの見られることがあります。
    また、心筋梗塞や脳血管障害の発生も報告されています。
    一時的な血小板の減少に伴う出血傾向や特異体質によりG-CSFに対するアレルギー反応もあります。

さらに、長期的に見た場合、末梢血の幹細胞採取が身体にどのような影響を及ぼすかは明らかになっていません。
このため、ドナー方には長期フォロー・アップにご協力いただき、採取後の健康状態を調査させていただいています。

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