放射線診療科(治療部)

子宮頸がんの放射線治療

このページは検診で異常を指摘され調べられている方、実際に子宮頸がんと診断されて治療法を調べている方にむけて記載しています。いずれも一般論で実際の治療は病状や全身の状態によって異なりますので、担当医とよく相談して方針を決定してください。

子宮頸がんとは

子宮は大きく分けて体部と頸部からなります。体部は妊娠時胎児が育つ袋の部分で、頸部は、出産まで閉ざされ分娩時に開く出口の部位です。
ほとんどの子宮頸がんは頸部のSCJ(扁平円柱上皮境界)という部位の細胞にパピローマウイルス (HPV) が持続感染し、細胞異常を生じ数年から数十年の経過を経て発癌をきたします。大きく分けて扁平上皮癌と腺癌に分類され、国内では扁平上皮癌の割合が高く(7割以上)、放射線治療への反応性も扁平上皮癌の方が高いとされています。

子宮頸がん検診

上記のように、原因が特定され、発がんのプロセスがはっきりしているためがん検診が推奨されています。
異常なし、要精査などの結果を受け取られて調べている方もいらっしゃると思いますので少し詳しく解説します。現在子宮頸部細胞診のベセルダシステムという分類を利用して、細胞の異常の程度を評価しています。
NILM以外は再評価、精査が必要です。直ちに癌の治療が必要な状態とは限りませんが、必ず専門医を受診して評価を受けてください。いずれも細胞を採取した段階での評価ですので、精査にてより正確な状態の判断に努めます。

判定 意義 対処方針
NILM
(Negative for intraepitherial legion or malignancy)
異常なし なし
定期的な検診
ASC
(Atypical squamous cells)
ASC-US 意義不明な扁平上皮細胞 HPV検査
生検
ASC-H 異形が強く、HSILの疑い 生検を含む
精密検査
SIL LSILs
(Low-grade intraepitherial lesions)
HPV感染軽度異形
組織診ではCIN1
HSILs
(High-grade intraepitherial lesions)
中-高度の異形
組織診では
CIN2-3またはCIS
Squamous cell carcinoma 浸潤した扁平上皮癌
AGC (Atypical gland cell) 腺異形、腺癌疑い
AIS (Adenocarcinoma in situ) 上皮内腺癌
Adenocarcinoma 浸潤した腺癌

各ステージの説明と治療方針

子宮頸癌の診断がついた場合、医師による内診(視診、触診)を主体にFIGO (international federation of international gynecology and obstetrics)病期分類によるステージを決定します。治療方針決定にはCTやMRIの検査結果も参考にします。

病期 病状 治療方針
0期 細胞診検査のSILの一部が相当
病変が浸潤していない状態
前がん状態または上皮内癌
円錐切除など子宮頸部の一部を切除する手術をまず行うことが一般的です。その所見(結果)によっては追加治療が検討されることがあります。
I期 病変が子宮内にとどまっている状態 国内では手術を行われることが多いですが、根治を目指した放射線治療を行うことがあります。
II期 病変が子宮とその近傍に進展している状態 手術、放射線治療(+抗がん剤治療)いずれかで治療を行います。
III期
IVA期
病変が子宮を超えて広がっている状態 放射線治療と抗がん剤治療を行います。
IVB期 肺や肝臓や骨に転移がある状態 抗がん剤治療が主体です。
出血や痛みがあれば症状をよくするための放射線治療を行うこともあります。

子宮頸がんにおける放射線治療の位置づけ

子宮頸癌の患者さんの治療法が検討されるにあたり、1990年代にイタリアでランダム化比較試験(試験に参加することに同意した患者さんの集団を対象に、くじ引きで手術か放射線治療かを選択する)が行われ、IB期からIIA期の患者さんでは治療成績に差がみられませんでした。
この結果をもとに日本および海外の子宮頸癌治療のガイドラインではどちらも根治治療として考慮されるとしています。ただし、国内では、下に示すような両治療の特徴から、手術後の状態に適応しやすい若年者では手術を、高齢者では放射線治療を勧められる傾向があります。治療選択に際しては患者さんのご希望も考慮されます。

子宮頸癌の根治治療 手術、放射線治療 それぞれの特徴

  主な長所 主な短所
手術 治療期間が短い
病理を確認できる
術後に排尿障害が生じやすく、訓練が必要。
出血、浮腫、腸閉塞などの副作用がある。
放射線 侵襲が少なく、状態を見ながら少しずつ治療を進められる 下痢や食欲不振などの急性期の副作用がある。
腸閉塞、直腸潰瘍、膀胱出血などの副作用が、時間がたってから出現することがある。

放射線治療の方法

治療の前半は抗がん剤治療を毎週1回、放射線治療を月曜日から金曜日まで週に5回行います。治療の後半では腔内照射を行います。総治療期間はおよそ1.5-2か月間程度です。病状により、抗がん剤治療や腔内照射を行わない場合もあります。

子宮頸がんの化学放射線療法のスケジュール例

 

*矢印は1回の治療を表します。
*抗がん剤はシスプラチン体表面積当たり40mgを週に1回点滴する方法が一般的です。
*外照射は月曜日から金曜日合計25回行います。日本では途中から子宮の部分をあえて隠して(腔内照射で十分に治療が行われるため)治療を行うことがあります(中央遮蔽)。
*腔内照射は治療の後半に週に1回(から2回)で4回程度行います。

放射線治療計画の例

 

腔内照射とは

子宮に直接的な治療を加えるために外からの照射と組み合わせて行います。子宮頸部の治療に占める割合が大きく、子宮頸がんの放射線治療では欠かせない要素とされています。
痛み止めを使用して(施設により方法は異なります)、子宮や腟にアプリケーターといわれる器具を挿入します。さらに副作用が軽減されるように腸を放射線源から離すようにガーゼや綿を挿入します。
セッティングが終わったのち、放射線が出る線源をどのように配置するかを計算します。腫瘍が存在する部位に十分放射線があたり、直腸が十分によけられていることを確認して配置を決定します。
計算が終わると治療に移ります。10-20分の間そのままの姿勢で待っていてください。放射線が照射されることによる痛みはありません。
RALS(Remote after-loading system)という装置を用いて行うのが一般的です。
治療器具を子宮に挿入した後、スタッフは部屋の外で待機し、装置から遠隔操作で放射線が出る線源を動かし治療を行うものです。

放射線治療の副作用

急性期障害(治療中、治療直後に出る副作用)

腸炎(吐き気、下痢など)
膀胱炎
皮膚炎、粘膜炎
感染症

晩期障害(治療から3か月以上経過したのち出る副作用)

腸管の症状(吸収不全、腸閉塞、直腸出血、狭窄など)
膀胱炎、膀胱出血
骨盤骨折、骨粗しょう症

2016年2月更新 清水口卓也
参考 子宮頸癌取扱い規約 2012年 金原出版

ページの先頭へ戻る